【書評】THE TEAM(ザ・チーム)5つの法則の要約・感想まとめ

やすのり
こんにちは!「Tekito style」を運営しているやすのり(@98nasi_nori)です。普段は都内でWebディレクター/マーケターなどをしています。

THE TEAM 5つの法則」は、一時期SNSでも話題になったチームや組織づくりに関するビジネス書。

チームや組織の課題は、変化の激しいベンチャーやスタートアップ企業では常に壁として立ちはだかるもの。チームづくりについての体系だった知識や経験がなかったので、今回改めて読んでみることにしました。

本記事ではTHE TEAMの概要や要点、また読んでみての感想などを備忘録としてまとめてみました。THE TEAMを読もうかなと思っている方や、チームづくりに悩んでいる方や参考にしてみてくださいね。

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THE TEAM 5つの法則の概要


Photo by:THE TEAM 5つの法則 (NewsPicks Book)

THE TEAMの著者である麻野耕司(あさのこうじ)さんは、企業の組織変革に関するコンサルティング会社「リンクアンドモチベーション」の取締役を勤めていた方。

国内初の組織改善クラウドサービスである「モチベーションクラウド」の立ち上げなどに従事し、同社での組織改善の経験を踏まえてTHE TEAMを出版。発売わずか2週で、5万部突破のヒットを記録しています。

同書では「共通の目的があるグループ」をチームとして定義し、成功するチームになるための考え方やポイントを下記の5つの法則に整理、事例を交えつつ紹介しています

・Aimの法則(目標設定)
・Boardingの法則(人員選定)
・Communicationの法則(意思疎通)
・Decisionの法則(意思決定))
・Engagementの法則(共感創造)
出版社幻冬舎
著者麻野耕司 (著)
出版日2019/4/2
サイト Amazon(単行本)
Amazon(Kindle)

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THE TEAM 5つの法則を読んでみての感想

THE TEAM 5つの法則を実際に読んでみて、チームづくりについて必要となる観点を網羅的に学ぶことができたので、その点はとても良かったです。

難解さもほとんどなく、チームづくりについて予備知識があまりなくても、半日でもあればさらっと読めてしまう感じです。

特にチーム内でいかに最適なコミュニケーションを取るかや、チームのエンゲージメントをいかに上げるのか、という部分については考え方の面でとても参考になりました。

どれだけあるべきチームの解像度が高められているか、個々のメンバーのことをどれだけ知っているか、など色々と気づきや反省点など得られたので、それだけでも読む価値はあったのかなと思います。

チームや組織づくりを進めていく場合、同書のポイントに沿って自社の組織課題と対応する施策などを整理すると、観点の抜け漏れチェック含め有効に活用できるのではないかと思います

ただもう少し各施策の具体的な導入・進め方のステップについてや、実際のチーム内での生々しい事例や成長過程なども紹介して欲しかったなとは思います。そのあたりは少しあっさりな印象でした。

チームの状況は多種多様だと思うので、具体的に施策として実行していくには、進め方や打ち手はチームの状況を踏まえて吟味していく必要がありますね。

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THE TEAMの要約・Pick Up箇所

THE TEAMでは組織についての観点を5つの法則に整理されています。それぞれの項目で気になった箇所を抜粋し、考えたことをざっとメモ程度ですがまとめました。

1. Aimの法則

チームの成果・パフォーマンスは、そのチームがどこを目指しているのかの目標設定に左右される
・チームに共通ゴールの認識はあるか
・正しい目標設定ができているのか?
はまず必ず確認しておくべき。

目標の種類

目標は下記の3種類で整理できる。

– 行動目標
– 成果目標
– 意義目標

・行動レベルに落とし込んだ目標は行動しやすいがブレイクスルーは起きにくく、一方で抽象度の高い意義目標は行動しにくいがブレイクスルーを起こしやすい。チームメンバーの能力・行動力次第で、調整するべき。

・意義・目的から逆算し、行動や成果目標を定義する(OKR)。

・「チームがなんのために存在し、どんな影響を与えるべきかという意義目標をすべてのメンバーが意識し、自発的に行動し、成果を上げるチームづくりが求められている」

読書メモ

  • チーム内で共通ゴールを本当に共有・浸透できているか?
  • 全体 > 部署 > 個人それぞれのレイヤーで目標を明確化できているか?
  • 意義目標「WHY」から逆算して戦略と施策を実行できているか?
  • 意義から逆算して、やるべきこと、やらないことを明確にできているか?
  • 意義から逆算して、チームで推奨されるべき行動指標が明確になっているか?
  • 意義目標、上げるべき成果、取るべき行動がシームレスに繋がっているか?
    またそれを日々意識できる制度や仕組みがあるか?
  • 日々のコミュニケーションを「WHY」から問うべきなのでは?
  • 意義目標の浸透のためには、日々使う言葉やキーワードも重要なのでは?

2. Boardingの法則

何をするかより、誰とする、のほうがチームのパフォーマンスには重要

チームの型

・環境変化の度合いと人材連携の度合いによってチームは、サッカー型など4タイプに分けられる。
・例:Webプロダクトチーム
→ デザイナーやエンジニアなど多様な人材が連携し、施策の進め方なども常に変化するのでサッカー型チーム。

チームにとって必要なメンバーがいるか?

・環境変の度合いにより、そのチームが入り口と出口のどちらにこだわるべきかが決まる。

・誰を船に乗せ、誰を船からどのように下ろすか?

・変化の度合いが高ければ、状況に応じてメンバーを入れ替えるべき。なので出口にこだわるべし。

・入り口のハードルを多少下げて、その都度パフォーマンスを上げるメンバーに残ってもらい、そうでない場合は去ってもらう方がチーム全体のパフォーマンスは上がる。

・チーム内で適度な新陳代謝を促すには……
– 長期ではなく短期雇用契約を結ぶ
– 人事評価を時に厳しくする

・入り口と出口のどちらを重視するのかは、0か100かではなく、グラデーションの問題。

読書メモ

  • 事業成功から逆算したとき、どんな人物が必要なのか?具体的な人材要件は?
  • それを明確にするために、事業特性を理解、整理できているか?
  • 組織の流動性が高かったとしても、うまくナレッジなどが引き継げる制度や体制があるか?

3. Communicationの法則

成果を上げるにはチームの効果的な連携が不可欠

・コミュニケーションは多ければ多いほどよい、ということではない。
・無駄なコミュニケーションを省き、チームメンバーの連携を効率的にするには一定の「ルール決め」が大切。
・しかしルールが細かすぎても、逆に効率が下がる。

ルール設定のポイント

1. 設定粒度:何をルール化の対象にすべきか?
2. 誰がルールを決めるのか?
3. どこまで責任を負うのか(責任範囲)
4. 何を評価するのか?(評価対象のルール)
5. どれくらい確認するか?(確認頻度のルール)

チームメンバーを動かすためには「感情」が重要

・ネガティブな感情があると、「何を伝えるか」をどれだけ工夫しても無意味。

「どうせ:メンバーは自分のことを理解していない」
「しょせん:自分が動いてもチームの成果は変わらない」
「やっぱり:自分が大切にされていない」
→ 何をではなく、誰が、どのような場で伝えるのかを工夫する必要がある。

・理解してから、理解されるという真実。
→ メンバーが自分は理解されているというベースが必要
→「自分のことをわかっている」人から伝えられる方が効果的

・メンバーの経験、感覚、志向、能力をチーム内で相互理解すべし。

チームメンバーの「人生」を知っているか?

・点(出来事)ではなく、線(時系列)、面(感情)まで掘り下げて理解しているか?
– 水平質問:相手の経験の全体像を知るための質問
– 垂直質問:相手の経験だけではなく感覚まで掘り下げる質問
→ 相互理解にはモチベーショングラフをシェアし合うことが効果的

・一方的に「伝える」のと、「伝わる」、さらに「動かす」コミュニケーションは異なることを理解すべし。
→ 相手を理解し、そのコンテキストに合わせたコミュニケーションをすべし

どのような場でコミュニケーションを取るべきか?

・「この場で行ってもしょせん無駄」と思われないためには心理的安全性を確保し、積極的な発言や行動を引き出すことが大切。

・心理的安全性を阻害する要因

1. 無知だと思われる不安
> どんな質問も歓迎するスタンス

2. 無能だと思われる不安
> 失敗共有の機会をつくるべし

3. 邪魔だと思われる不安
> 発言はすべて歓迎するスタンス

4. 批判的だと思われる不安
>反対意見も歓迎(むしろ意識的に反対する役割の人を入れるなど)

読書メモ

  • チームメンバーを「人生」レベルで理解できているか?
  • 日々のコミュニケーション+αで相互理解をどこまで深めていくことができるか?
  • チームメンバーに対し、恐れなく意見を言える空気がチーム内にあるか?
  • チーム全体での深い相互理解、率直に意見を言える空気感をつくるにはどのような制度があるべきか

4. Decisionの法則

メンバーのパフォーマンスは、要所要所でも意思決定で決まる。

意思決定の方法の種類

1. 独裁
2. 多数決
3. 合議

・それぞれ一長一短のメリデメがある
・「メンバーの納得感」と「意思決定のスピード」のバランスが重要。状況により使い分ける、もしくは組み合わせる。

合議による優れた意思決定「KT法」

・SA:状況把握
・PA:問題分析
・DA:決定分析
・PPA:潜在的問題・潜在的好機分析

※DA:複数の選択肢から最適解を決定するプロセス
– 選択肢を選ぶための基準を先に決めることが重要
– 次にその基準の優先順位を決める
– 選択基準に見合う選択肢を複数選出
– 優先度の高い基準に合致する選択肢を選ぶ

独裁の場合

・メンバー含め様々な角度から情報を集め、強い意思決定と早い意思決定を意識することが大切。
・メンバーは決定内容のメリデメを理解し、意思決定者を孤独にしない。
・決定を正解にする実行力と気概が求められる。

読書メモ

  • チームの意思決定プロセスは明確かつ正しいか?
  • 誰がどこまで決めて良いのかなど、そもそものルールが明確か?
  • 状況に応じて、適切な意思決定方法・判断軸を持てているか?
  • 正しく現状分析と優先順位を踏まえて意思決定ができているか?

5. Engagementの法則

エンゲージメントとは、チームに貢献しようとするモチベーションのこと(貢献意欲)

またモチベーションとは、そのチームに参加する理由のこと。どんなプロでもモチベーションに左右される、つまりすべてのメンバーはモチベーションに左右されるという前提を持つべき

エンゲージメントを高める4P

1. 理念・方針
2. 活動・成長
3. 人材・風土
4. 待遇・特権

・Privilege(金銭報酬や地位報酬)、Philosphy・Profession(感情報酬:理念への共感、やりがい、仲間とのつながり)の2パターンに大別できる。

・チームとして、どこに比重を置くのかを決める必要がある(どの観点で魅力に映るチームなのか?)

・その上でそれをエンゲージメントの源泉とするメンバーを集め、それに沿ってチームの魅力を高めていく。

・提供する4Pと社員のエンゲージメントの源泉にエッジを立たせることが(エンゲージメントの最大化という意味でも、採用の意味でも)重要

エンゲージメントの法則

エンゲージメント
=報酬・目標の魅力(やりたい)× 達成可能性(やれる)× 危機感(やるべき)
=WILL × CAN × MUST

読書メモ

  • 4Pのうち、チームとしてどこに特化させるべきか?
  • 現状ではどこに共感しているメンバーが多いのか?
  • 決めた要素に対して、エンゲージメントを最大化させる仕組みは何が考えられるか?

まとめ

ここまでTHE TEAM 5つの法則の概要や感想をざっとまとめてきましたが、いかがでしたでしょうか?強いチームをつくるべく、チームや組織づくりについて体系立ててインプットできるので、とても参考になりました。

また今回は紹介しませんでしたが、本書では各法則ごとの実例や、チームが機能しなくなる(掛け算ではなく、マイナス作用してしまう)チームの落とし穴や注意点などについても解説されています。

まだ読んでいない方はぜひ手にとって詳細を見てみてくださいね。

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ABOUT US
やすのり
マーケター/ プロダクトマネージャー(@98nasi_nori )。ときどき旅人な91年生まれ。早稲田大学卒。都内ベンチャー企業にてマーケティングマネージャー、WebプロダクトのUI/UX改善の企画・PMなど担当。フルリモート勤務。もともとWebライター・編集者。開発やデザインも細々と勉強中…。学生時代は1年間の世界一周経験あり(過去約40ヶ国訪問)。お気に入りの国はベトナム、モロッコなど。好物は家系ラーメンとタピオカ。趣味は温泉とコワーキング巡り。
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