Webメディアが増えている昨今、メディアの信用に寄与する大事な工程が校正と校閲です。
記事中の文章に誤りが散見されたり、そもそも事実と異なっている内容を発信していると、読者からの信用を失いかねません。しっかり校正と校閲の段階を踏まえることで、そうした状況を未然に防ぐことが可能です。
部署異動などでいきなり記事編集に携わるケースもあるので、そういった悩みを持つ方も多いのかなと思います。
ということで本記事では、記事・文章の添削時に知っておきたい記事校正・校閲の基本的なポイントを22個まとめていきます。
校正・校閲の対応領域は膨大で、すべてを網羅しているわけではありません。またメディアや担当者さんによっても進め方は異なりますので、確認項目の一例としてご参考いただけますと幸いです。必要に応じて追加、取捨選択していただければと!
校正・校閲の前に、記事編集のチェックポイントについても合わせて確認してみてくださいね ↓↓
Contents
記事添削における、校正・校閲の役割や内容は?
記事添削にあたり、そもそも校正・校閲の役割や内容は何なのでしょうか?それを考えるには、編集と校正、校閲の違いをざっと理解しておくことが大切です。
端的に言えば、編集、校正、校閲の違いは下記です。
記事内容が企画や趣旨、媒体ポリシーに沿っているか、読みやすい文章になっているかを確認し、必要に応じて修正すること。画像や図表入れ、進行管理、場合によっては校正や校閲の工程も含まれます。
校正
文章の内容は読まず、元の原稿と修正版を比較し、文章表面上の訂正をすること。一語一字、文字単位で誤字・脱字、表記ミスを洗い出し、修正を重ねていきます。
校閲
文章の内容を読み込み、内容の矛盾や間違い、事実の確認をし、その正誤・適否を検討すること。
編集は記事内容が企画意図や目的に沿っているのかの確認や読みやすさの修正、一方で校正・校閲は文章・記事の誤りを訂正していくイメージです。
基本的には「編集 → 校正・校閲」の流れで進めていきます。ただ一方通行ということでもなく、相互に行ったり来たりを繰り返しながらブラッシュアップしていくことが多いですね。
編集のチェックポイントについては下記記事にまとめています。
またそれぞれの工程を分業することもありますが、予算や時間などリソースの兼ね合いで最近は一人の編集者がすべて担うケースも多いです。
校正とは
校正・校閲のおおよそイメージがついたところで、具体的な内容について確認していきましょう。
校正は文章の内容は読まず、元の原稿と修正版を比較し、文章表面上の訂正をすること。
主に「素読み」、「突き合わせ」、「赤字照合」などのパターンがあります。Webメディアでの校正とは、この素読みのことを指すケースが大半です。
素読みでの校正は、校正刷りだけを読み込み、辞書などを参考に文字単位で誤字や脱字、表記・文法のミスを訂正していきます。
分かりやすいのは、同音異義語(誤りと謝りなど)や漢字の変換ミスなどがありますね。あとは漢字の送り仮名の不足、表記の統一など。
内容ではなく、徹底して文字の誤りを見る漢字ですね。
一方出版業界では、素読みの前段階として、突き合わせや赤字照合などの工程も行うことが多いです。
突き合わせでは、もとの原稿と修正されたゲラ刷り(試し刷り)を比較し、1文字ずつ間違いやズレがないかを確認していきます。また赤字照合では、赤字(ライターや編集者、校正者などから指摘を受けた修正箇所)にフォーカスし、もとの原稿が正しく直っているかのチェックを繰り返していきます。
校閲とは
一方で校閲は、記事や原稿に書かれている文章の内容をしっかり読み込み、間違いなどを訂正していくこと。
記事・文章内容自体に問題はないか、文章同士や主張に矛盾は生じていないか、文章表現に誤りや修正箇所はないかなど、様々な角度から検討を重ねます。校正と比較し、かなり対応領域が広い感じですね。
また校閲の段階では事実確認も念入りに行い、文字通り実際に書かれている内容が事実に即しているかを検討していきます。
固有名詞や数字などの基本的な間違いはもちろん、主張そのものの事実・因果関係や史実関係などの誤りも含め、必要に応じて訂正・補完していきます。
リサーチには書籍や文献、辞書、インターネットなどを駆使し、場合によっては専門家などへのヒアリングも行う感じです。
何で校正や校閲が必要なの?
記事の内容に事実間違いがあると、シンプルにメディアそのものの信憑性が問われます。最近だと医療や法律系の記事などは特に目線も厳しくなっていますし、過去に炎上したケースもありましたよね(WEL◯など)。
また文章が読みにくかったり、表記ミスが続くと読者に負担をかけることにもなります。
その上、事実確認や文章表現など細かいところもしっかりやり切れるライターさんは経験上本当に極稀です。出会えたら感動するレベル。
人が書いている文であれば、どこかしらミスや間違いは発生しますし、その前提でいた方がよいでしょう。何度確認しても、ミスを0にするのは実際なかなか難しかったりします。
よりよいメディア運営をするのであれば、できる限り丁寧な記事づくりをすべきですし、そのために校正・校閲のステップは差し込むべきかなと思います。
正直Web媒体の記事の場合、細かく見過ぎてもSEOの観点で費用対効果が合わなかったりするのですが、神は細部に宿ると言いますし、長期的に読者の信頼を勝ち取るためにもしっかり記事を磨き込めると良いですよね。
文章添削のコツ:校正のチェックポイント
まずは校正のチェック項目を15個列挙していきます。1つの例としてご参考いただけますと幸いです。
文字の誤り・ミス
基本的な文字の誤りやミスなどは必ずチェックして、抜け漏れのないようにすると良いかなと思います。
1. 誤字・脱字はないか?
シンプルに誤字や脱字をチェックします。かなりチェックしても誤字や脱字は出てくるので、校正段階の一番の基本にして油断ならない箇所です。
2. 漢字表記・同音異義語の誤りはないか?
漢字表記や同音異義語の誤りもかなり頻出です。タイプミスは誰にでも起こる上に、読んでいると意外と気づけなかったりするので要チェックです。
- 謝り、誤り、謬り
- 感じ、漢字、幹事
- 例を挙げる、例を上げる
など
3. 漢字の送り仮名は正しいか?
漢字の送り仮名も、間違い・ミスとしては頻出です。
- 補なう → 補う
- 曲る → 曲がる
- 混る → 混ざる
など
4. 助詞・てにをはの誤りはないか?
ライターさんによっては、助詞・てにをはの誤りも結構多いです。使い分けをしっかりできない方も多いので、要チェックの校正箇所です。
- 「が」と「は」
- 「に」と「を」
- 「〜から」と「〜より」
など
特に「〜が〜する」と「〜は〜する」の、「が」と「は」の使い分けができていない場合は割と多いです。
表記ルールとのズレ
表記ルールと原稿にズレはないか、表記が統一されているかを確認します。
表記ルールについてはメディア・媒体ごとに異なるかと思うので、チェック項目の例としてご参考いただき、各々で調整いただければ幸いです。
5. 文体は統一されているか?
文体は「です・ます調」、「だ・である調」のどちらかで統一すべきかを確認しましょう。
「です・ます調」の記事なのに、なぜか1文だけ「だ・である調」が紛れていることもたまにありますよね。
6. 英数字の半角・全角は統一されているか?
個人的に普段Webの記事を読んでいると結構気になるのが、英数字の半角と全角の統一がされていないこと。
こちらも媒体によってルールが異なるので、ライターさんによっては表記ルールが統一されていないこともしばしば。
ですが半角・全角の違いは一目で分かりやすいので、校正段階で見逃すことはあまりないかもしれません。
7. 約物の半角・全角は統一されているか?
約物(括弧や!、?など)は半角、全角の表記が統一されているか確認しましょう。ここが混在しているケースは結構あります。
- 括弧( )
- 感嘆符(!、?)
- コロン、セミコロン(:、;)
- ハイフン(-、ー)
など
あと細かいですが、スペース・空白についても半角と全角の区別に注意しましょう!
8. 固有名詞やセリフは正しく対処できているか?
固有名詞や作品名、人物のセリフが出た際は括弧で囲うのか、また囲う際は「」や『』など、どの約物で対処するかのパターンを事前に整理、確認しておきましょう。
9. 括弧の中に括弧を入れる場合の対応は適切か?
括弧( )の中に、さらに括弧を入れる必要があるケースはたまにあります。その場合は< >で代替するなど、ルール通りに表記の統一ができているかを確認しましょう。
10. 括弧前後の句点位置は適切か?
括弧がある場合、その前後どちらに句点を入れるか、また括弧内の文章に句点を入れるのか、などのルールについても統一できているか確認しましょう。
〜です。(笑)or 〜です(笑)。
句点の有無
〜ます(ただし〜です。)。 or 〜ます(ただし〜です)。
11. 単位表記は適切か?
下記のような単位表記は、英字での表記なのか、また日本語での表記なのかを確認しましょう。
- 「m」メートル
- 「kg」キログラム
- 「¥」円
- 「%」パーセント
- 「GB」ギガバイト
など
12. 数字表記は適切か?
数字表記は場合によってややこしいので、表記ルールに則って対処・統一をしましょう。
- カンマを入れるか?(例:430,765円)
- 漢数字、算用数字のどれか?(二百 or 200 、一人 or 1人)
漢数字か算用数字かは結構迷うところですよね。
一般的には慣用句や熟語、固有名詞などに含まれる数字(一石二鳥など)は漢数字、それ以外、例えば数を数える場合(3人など)は算用数字などで対応する場合が多いかなと思います。
13. 漢字の閉じ開きは記事内で統一されているか?
漢字の閉じ開きは、油断するとバラついてしまうことが多いので要注意です。
メディアによっても表記ルールが異なりますし、場合によっては定義されていないケースも多々あります。参考としては下記のような項目がありますね。
- 事 → こと
- 出来る → できる
- 等 → など
- 為 → ため
- 有る → ある
- 無い → ない
- 凄い → すごい
- 但し → ただし
- 又 → また
- 尚更 → なおさら
- 全て → すべて
- 致します → いたします
- 〜して下さい → 〜してください
- とおして → 通して
- わかる → 分かる
- ちがう → 違う
14. 三点リーダの利用方法は適切か?
三点リーダ(…)を使う場合も、表記ルールに沿ってミスがないかを確認しましょう。「・・・」などのように全角の中黒で表現することもあったりしますが、一般的には「……」のように2つ続けて使うケースが多いです。
15. 機種依存文字の有無や利用方法は適切か?
「☻」、「❏」、「♡」など機種依存文字の扱いが正しいかを確認しましょう。
ただしWeb媒体では、デバイスなど閲覧環境によっては文字化けする原因となるため、原則利用しないことを推奨します。
文章添削のコツ:校閲のチェックポイント
ここからは、校閲のチェックポイントの例を列挙していきます。
校閲では事実に誤りはないか、文章同士や主張に矛盾は生じていないか、文章表現に誤りがないかなどを様々な角度から検討します。
事実確認
記事が事実と反している場合は、読者に誤解や間違ったことを伝えてしまいます。細かい文章表現以上に問題です。事実を正しく伝えられるよう、必ずできる限りの確認をしましょう。
16. 固有名詞の誤りはないか?
人名、社名、建物名、商品名、地名など固有名詞に問題はないかをまず確認しましょう。
シンプルに名称を間違えていないかの他に、表記も正確なのかを合わせて確認しておくと安心です。
- 漢字表記なのか、平仮名表記なのか
- アルファベット表記なのか、カタカナ表記なのか
- 大文字なのか、小文字なのか
17. 数字・データに誤りはないか?
数字やデータについても、誤りが発生しがちなポイントです。
特に数字の場合、1,000と10,000など桁を間違えるとかなり大変なことに……。要チェックです!
- 金額
- 速度
- 長さ
- 重さ
- 距離
- 時間
- 年代
- 日付
- 年齢
18. スポット情報に誤りはないか?
観光スポットや公的機関など、場所に関わる情報に誤りがないかも要確認です。特に下記の項目は間違えていることが結構あります。
- スポット / 建物の名称
- 住所
- 電話番号
- アクセス情報
- 営業時間
- 公式サイトのURL
特に住所や営業時間が変更されていたり、場合によっては閉鎖されていたりすることも……。
間違っていると、読者が間違った場所に行ってしまう恐れもあります。必ず実際に公式サイトへ遷移してみて、最新情報か確認すべきでしょう。
19. 歴史的事実や因果関係は正しいか?
例えば「1992年に◯◯が発生した。その結果◯◯になった。」などの文章は要チェックです。
本当にその時にその事案が発生したのか、またその原因と結果の因果関係は本当に正しいのかなど、事実関係を一度精査すべきです。
20. 記事内容に矛盾はないか?事実に基づいているか?
記事内容が事実と照らし合わせて本当に正しいのかも、校閲では深ぼってチェックします。このあたりは記事内容によってくるので、内容を読み込みケースバイケースで対応するしかないのかなと思います。
→ その建物の角度からは、現実的には見ることができないので矛盾している
例2. 「◯◯空港、14:00発◯◯行きの便が、、」
→ その路線はすでに変更されているので、事実と異なる
文章表現の誤り
文章表現の誤りについても校閲段階でチェックします。編集の工程と被る部分もあるので、ここでは簡単にまとめておきますね。
21. 文章表現に間違いはないか?
例えば下記のような文章表現のミスは発生しがちなので、一文ごとに丁寧に確認していきましょう。
- 主語と述語のねじれ
- 文頭、文末、文節の重複表現
- 二重表現
- 尊敬語・謙譲語・丁寧語の誤り
など
22. 差別語・不快語はないか?
性的表現や差別、偏見を助長するような表現についても、校閲段階で確認し必要に応じて表現を修正していきます。媒体によってOK・NGの線引が異なる部分もあるので、事前にルールを確認しておきましょう。
ミスや抜け漏れを防ぐには?記事・文章添削の確認方法
一度のチェックですべてのミスや修正箇所を洗い出すことは難しく、何かしらミスや確認漏れは発生しがちです。
ですので、下記のように何度も読み返したり、読み返す方法を色々と工夫してみると良いかなと思います!
- 1つの記事を何度も見直す
- 期間や時間を明けて見直す(Web記事の場合はリライト含め定期的に)
- 複数人でチェックする
- 音読する
- 印刷して確認する
また記事の内容をブラッシュアップしたり、記事の内容に違和感をもつ感覚を研ぎ澄ますためには、媒体で扱うジャンルについて広く深い専門的な知識を持つことをおすすめします。
校正ツールを活用するのもあり
校正の精度を上げたり、その手間を少しでも減らすなら、校正ツール・サービスを使うことも検討してみましょう。
正直無料のツールだとまともに使えるツールはほぼないので、しっかりしたものを使うことをおすすめします。
色々ツールはありますが、文章作成アドバイスツール「文賢(ブンケン)」は結構使えます。誤字や脱字、間違った日本語などの指摘や、文章の読みやすさ・分かりやすさについての改善点を指摘してくれるツールです。
媒体ごとの表記ルールも登録でき、文章がそれに沿っているかの確認もできます。上場企業や個人事業主、教育機関と幅広く活用されていますね。
利用料は月1,980円とリーズブルなので、一度試してみてもよいかなと思います。もちろんミスを完璧に指摘したり事実確認まではできないので、あくまで校正のサポートって感じですが、すべて人力で確認するよりは楽になるかと。
あなたの文章をもっと読みやすく。文章作成アドバイスツール【文賢】
【まとめ】メディア運営するなら、校正・校閲は必ずすべし
ここまで記事・文章の添削にあたり、校閲・校正のチェックポイントとして基本的な項目を22個まとめてみました。
校正・校閲はかなり地道で大変な作業ではありますが、メディアや記事の信頼を担保するためには必須の工程です。
なかなかリソースを割けない担当者さんも多いかなと思いますが、ぜひ記事品質向上のためにご検討いただけると幸いです。本記事を確認項目の一つの例としてご参考いただければと思います。
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そもそもの記事の書き方は下記記事で詳細をまとめています ↓↓
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